コンノ時計店  横浜市中区伊勢佐木町4-121 TEL 045-251-8555 水曜定休  11:00~18:00
時計を大切に使うために
最近の時計は、ケースやクサリの腕時計の値段全体に占める割合が高くなって来ています。また、外装部品の方が、早い時期に部品入手出来なくなる可能性が高いですし、お値段も高いのですから外装をキレイに使うことが、長く時計を使う秘けつになります。
クサリが長すぎると、クサリが早く痛みます。

緩すぎです

重い時計程ダメージは大きい

 現代の純正クサリは高価です。例えば、ロレックスの場合、SSクサリで6〜10万円、コンビモデルになると20〜30万円します。貴金属のクサリは・・・聞いた事有りません。多分、本体より高い!
 また、機械部品より純正クサリは早く代替え品もしくは欠品になります。ですから、クサリの本来の寿命を全うさせる使い方をしなければなりません。
 クサリを右の写真のように緩く手にかかるように使うと、クサリの手側半分に力が加わり、異常に早く摩耗し、クサリの寿命を極端に短くささせます。痛んでくるとクサリの隙間が大きくなって来て、最終的に鎖が切れます。もし、切れた場合はつなぐ事が可能な場合が多いのでご相談ください。ただし、クサリの隙間を詰める事は出来ません。
 鎖を炒めないためには、左の写真のようにくるぶしから落ちないくらいのサイズが理想的です。きつく感じられる方でも、少し緩いくらいに調整するのが原則です。特に金製の板状のブレスレットの場合、鎖がねじ切れ修理不能になります。

こんな感じが理想的

緩めでもこんな感じ
竜頭(時間を合わせる所)の扱い方
普通の竜頭
ねじ込み式の竜頭
 電池式の時計だとほとんど竜頭を巻く機会がなくなっていると思います。竜頭を巻くという動作によって、ゼンマイを巻くだけではなく、竜頭の部分につまったゴミがとれます。ゴミがつまっているとゴミが湿気を呼びますので竜芯(竜頭の心棒の部分)が錆、結果として機会内部にも錆が入っていきますし、竜芯が竜頭の根元から折れると、竜頭も交換しなければならなくなります。
 また、金メッキの竜頭は、常に同じ方向が肌についていると、その部分からメッキが剥がれはじめ、汚くなり、腐蝕が進むと竜頭がなくなります。 このような事を出来る限り防ぐため、竜頭を巻く癖をつけて下さい。
 ねじ込み式の竜頭は、まずねじ込み方が重要になります。通常、押しつけながら上の方向に竜頭を回す事により竜頭は締まります。この時、ねじ込みづらい感じが合ったら、無理をせずスムーズにねじ込める状態の所を探してねじ込んでください。理想的には押し込みながら、気持ち下方向に竜頭を回し、押し込んだ状態のまま上の方向に回してねじ込むと、ネジ山が合った状態でねじ込む事が出来ると思います。
 また、必要以上に竜頭の開け閉めが多いと、竜頭・パッキンの摩耗が激しくなり、竜頭・パッキンの寿命が短くなり、結果として防水性が落ちます。
汗をかいた後は、時計を拭いて下さい。
汗の塩分等によって金属が腐蝕します。ステンレスといえども腐蝕しますので、時計をキレイに使いましょう。特に、裏蓋が小さなネジ何本かで留まっているモデルは、ネジが錆び付き抜けなくなる可能性がありますので、特に日常のメインテナンスが大切です。このタイプのモデルは男性が汗をかく時期、日常使用するのには向きません。
文字盤・夜光の変色に気を付けて下さい。
経年変化もありますが、多くの場合、防水不良が原因となる場合が多いと思います。特に曇った事が有る場合、放置すると、文字盤の変色を招きます。文字盤は交換部品のなくなるのが早いですし、近頃の文字盤は種類が多いのでなくなるのが早いと考えられます。限定も出るならなおさらです。それに近頃の文字盤は凝った文字盤が多いので、リダン(書き直し)が不可能でシンプルな文字盤に交換せざる得ない場合が予想されます。
 文字盤のしみ・変色等に気がついたら、シミ等が拡大する前に分解掃除をしましょう。一度ついたシミ・変色は取れませんが、早めに拡大を防ぐ事です。文字盤は、時計の顔になる部品で、高価ですし、部品のストックも少ないので入手出来なくなる時期も早めですので、文字盤は大切にして下さい。
輸入時計の電池交換は、早めに日本製へ

 輸入時計に使われている電池の中には、日本製に比べて電池の液漏れがしやすい物があります。早い時期に、日本製の製造メーカーのパッケージの電池、または日本の一流時計メーカーのパッケージの電池にお取り替えなさる事をお薦めいたします。有名輸入時計の総代理店でも、修理に来た時計は、日本製の電池に交換している所もありますので、是非早めに電池を交換される事をお薦めいたします。
 先日、この液漏れしない長寿命電池のキーになる技術を開発された先生にお会いしました。この先生は元原子量研究所の方で、その関係で出てきた技術で、その関係もあり日本のメーカーしか使っていないようです。

カレンダーの日付け変更は時間を選ぶ事
 日付け等を変える時は、時計上の時間で午前9時より後の時間で変えるようにしてください。一部の時計は、この時間より前に日付けを変更しようとすると、引っ掛かる感じになり無理をするとカレンダー機構が故障します。カレンダーを変える時、引っ掛かる感じがしたら、時間を進ませてから直して下さい。私どもで修理をお預りしている限り、お預かりしている数が多いせいかもしれませんが、ロレックスのレディス・ボーイズ、エルプリメロなどが不適切な日付け合わせによる部品破損が多いように感じます。
分解掃除の時期
 お使いの状態により違いますが、現代の自動巻防水時計で一般的には3年過ぎたら機会を見て5年経たない内に定期分解掃除(オーバーホール)をお薦め致します。これは防水性維持・オイル切れの点から重要です。ただし、一般的な話で、物理的にアクティブな活動をなさっていると自認する方は、自動巻ローターの動きが激しいため、早めの分解掃除をお進め致します。
 電池式の時計は、力のかかる動きが少ないので、機械時計程シビアでは有りませんが、防水部品の劣化等を考えると、電池交換2回位したら分解掃除をした方が宜しいかと思います。
 早めの分解掃除をを心掛け、外装と文字盤を守る事が、時計を長く、キレイに使うこつです。機械部品は外装部品にくらべて長い間入手可能な可能性が高いですし、機械によっては機械交換ということも考えられますが、外装部品だけは入手不可能になってしまう場合が多いので、機械以上に大切に扱って下さい。